(平成十四年七月二十六日法律第九十二号)
最終改正:平成二五年一一月二九日法律第八七号
(目的)
第一条 この法律は、南海トラフ地震による災害が甚大で、かつ、その被災地域が広範にわたるおそれがあることに鑑み、南海トラフ地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、南海トラフ地震防災対策推進地域の指定、南海トラフ地震防災対策推進基本計画等の作成、南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域の指定、津波避難対策緊急事業計画の作成及びこれに基づく事業に係る財政上の特別の措置について定めるとともに、地震観測施設等の整備等について定めることにより、災害対策基本法 (昭和三十六年法律第二百二十三号)、地震防災対策特別措置法 (平成七年法律第百十一号)その他の地震防災対策に関する法律と相まって、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「南海トラフ」とは、駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て日向灘沖までのフィリピン海プレート及びユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を形成する区域をいう。
2 この法律において「南海トラフ地震」とは、南海トラフ及びその周辺の地域における地殻の境界を震源とする大規模な地震をいう。
3 この法律において「地震災害」とは、地震動により直接に生ずる被害及びこれに伴い発生する津波、火事、爆発その他の異常な現象により生ずる被害をいう。
4 この法律において「地震防災」とは、地震災害の発生の防止又は地震災害が発生した場合における被害の軽減をあらかじめ図ることをいう。
(南海トラフ地震防災対策推進地域の指定等)
第三条 内閣総理大臣は、南海トラフ地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災対策を推進する必要がある地域を、南海トラフ地震防災対策推進地域(以下「推進地域」という。)として指定するものとする。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により推進地域を指定するに当たっては、南海トラフ地震として科学的に想定し得る最大規模のものを想定して行うものとする。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による推進地域の指定をしようとするときは、あらかじめ中央防災会議に諮問しなければならない。
4 内閣総理大臣は、第一項の規定による推進地域の指定をしようとするときは、あらかじめ関係都府県の意見を聴かなければならない。この場合において、関係都府県が意見を述べようとするときは、あらかじめ関係市町村の意見を聴かなければならない。
5 内閣総理大臣は、第一項の規定による推進地域の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
6 前三項の規定は、内閣総理大臣が第一項の規定による推進地域の指定の解除をする場合に準用する。
(基本計画)
第四条 中央防災会議は、前条第一項の規定による推進地域の指定があったときは、南海トラフ地震防災対策推進基本計画(以下「基本計画」という。)を作成し、及びその実施を推進しなければならない。
2 基本計画は、南海トラフ地震に係る地震防災対策の円滑かつ迅速な推進の意義に関する事項、国の南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する基本的方針及び基本的な施策に関する事項、南海トラフ地震が発生した場合の災害応急対策の実施に関する基本的方針、南海トラフ地震防災対策推進計画(災害対策基本法第二条第九号 に規定する防災業務計画、同条第十号 に規定する地域防災計画又は石油コンビナート等災害防止法 (昭和五十年法律第八十四号)第三十一条第一項 に規定する石油コンビナート等防災計画のうち、次条第一項各号に掲げる事項について定めた部分をいい、以下「推進計画」という。)及び南海トラフ地震防災対策計画(第七条第一項又は第二項に規定する者が南海トラフ地震に伴い発生する津波からの円滑な避難の確保に関し作成する計画をいい、以下「対策計画」という。)の基本となるべき事項その他推進地域における地震防災対策の推進に関する重要事項について定めるものとする。
3 前項の国の南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する基本的な施策に関する事項については、原則として、当該施策の具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとする。
4 中央防災会議は、基本計画の作成及びその実施の推進に当たっては、南海トラフ地震の発生の形態並びに南海トラフ地震に伴い発生する地震動及び津波の規模に応じて予想される災害の事態が異なることに鑑み、あらゆる災害の事態に対応することができるよう適切に配慮するものとする。
5 基本計画は、大規模地震対策特別措置法 (昭和五十三年法律第七十三号)第二条第十号 に規定する地震防災基本計画と整合性のとれたものでなければならない。
6 災害対策基本法第三十四条第二項 の規定は、基本計画を作成し、又は変更した場合に準用する。
(推進計画)
第五条 第三条第一項の規定による推進地域の指定があったときは、災害対策基本法第二条第三号 に規定する指定行政機関(以下「指定行政機関」という。)の長(指定行政機関が内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 若しくは第二項 若しくは国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 の委員会又は災害対策基本法第二条第三号 ロに掲げる機関若しくは同号 ニに掲げる機関のうち合議制のものである場合にあっては当該指定行政機関をいい、指定行政機関の長から事務の委任があった場合にあっては当該事務については当該委任を受けた同条第四号 に規定する指定地方行政機関(以下「指定地方行政機関」という。)の長をいう。)及び同条第五号 に規定する指定公共機関(以下「指定公共機関」という。)(指定公共機関から委任された業務については、当該委任を受けた同条第六号 に規定する指定地方公共機関(以下「指定地方公共機関」という。))は同条第九号 に規定する防災業務計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 避難施設その他の避難場所、避難路その他の避難経路、避難誘導及び救助活動のための拠点施設その他の消防用施設その他南海トラフ地震に関し地震防災上緊急に整備すべき施設等で政令で定めるものの整備に関する事項
二 南海トラフ地震に伴い発生する津波からの防護、円滑な避難の確保及び迅速な救助に関する事項
三 南海トラフ地震に係る防災訓練に関する事項
四 関係指定行政機関、関係指定地方行政機関、関係地方公共団体、関係指定公共機関、関係指定地方公共機関その他の関係者との連携協力の確保に関する事項
五 前各号に掲げるもののほか、南海トラフ地震に係る地震防災上重要な対策に関する事項で政令で定めるもの
2 前項に規定する指定があったときは、災害対策基本法第二十一条 に規定する地方防災会議等(市町村防災会議を設置しない市町村にあっては、当該市町村の市町村長)は同法第二条第十号 に規定する地域防災計画において、石油コンビナート等災害防止法第二十七条第一項 に規定する石油コンビナート等防災本部及び同法第三十条第一項 に規定する防災本部の協議会は同法第三十一条第一項 に規定する石油コンビナート等防災計画において、前項各号に掲げる事項を定めるよう努めなければならない。この場合において、市町村防災会議(市町村防災会議を設置しない市町村にあっては、当該市町村の市町村長。以下同じ。)は、第十二条第一項に規定する津波避難対策緊急事業計画の基本となるべき事項を定めることができる。
3 第一項第一号に掲げる事項については、原則として、その具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとする。
4 推進計画は、基本計画を基本とするものとする。
(推進計画の特例)
第六条 前条第一項又は第二項に規定する者が、大規模地震対策特別措置法第六条第一項 又は第二項 の規定に基づき、前条第一項各号に掲げる事項を定めたときは、当該事項を定めた部分は、推進計画とみなしてこの法律を適用する。
(対策計画)
第七条 推進地域内において次に掲げる施設又は事業で政令で定めるものを管理し、又は運営することとなる者(第五条第一項に規定する者を除き、南海トラフ地震に伴い発生する津波に係る地震防災対策を講ずべき者として基本計画で定める者に限る。)は、あらかじめ、当該施設又は事業ごとに、対策計画を作成しなければならない。
一 病院、劇場、百貨店、旅館その他不特定かつ多数の者が出入りする施設
二 石油類、火薬類、高圧ガスその他政令で定めるものの製造、貯蔵、処理又は取扱いを行う施設
三 鉄道事業その他一般旅客運送に関する事業
四 前三号に掲げるもののほか、地震防災上の措置を講ずる必要があると認められる重要な施設又は事業
2 第三条第一項の規定による推進地域の指定の際、当該推進地域内において前項の政令で定める施設又は事業を現に管理し、又は運営している者(第五条第一項に規定する者を除き、南海トラフ地震に伴い発生する津波に係る地震防災対策を講ずべき者として基本計画で定める者に限る。)は、当該指定があった日から六月以内に、対策計画を作成しなければならない。
3 対策計画を作成した者は、当該施設の拡大、当該事業の内容の変更等により、対策計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく当該対策計画を変更しなければならない。
4 対策計画は、当該施設又は事業についての南海トラフ地震に伴い発生する津波からの円滑な避難の確保に関する事項その他政令で定める事項について定めるものとする。
5 対策計画は、推進計画と矛盾し、又は抵触するものであってはならない。
6 第一項又は第二項に規定する者は、対策計画を作成したときは、政令で定めるところにより、遅滞なく当該対策計画を都府県知事に届け出るとともに、その写しを市町村長に送付しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
7 第一項又は第二項に規定する者が前項の届出をしない場合には、都府県知事は、その者に対し、相当の期間を定めて届出をすべきことを勧告することができる。
8 都府県知事は、前項の勧告を受けた者が同項の期間内に届出をしないときは、その旨を公表することができる。
(対策計画の特例)
第八条 前条第一項又は第二項に規定する者が、次に掲げる計画又は規程において、法令の規定に基づき、同条第一項の政令で定める施設又は事業に関し同条第四項に規定する事項について定めたときは、当該事項について定めた部分(次項において「南海トラフ地震防災規程」という。)は、当該施設又は事業に係る対策計画とみなしてこの法律を適用する。
一 大規模地震対策特別措置法第二条第十二号 に規定する地震防災応急計画(同法第八条第一項 の規定により同号 に規定する地震防災応急計画とみなされるものを含む。)
二 消防法 (昭和二十三年法律第百八十六号)第八条第一項 若しくは第八条の二第一項 (これらの規定を同法第三十六条第一項 において準用する場合を含む。)に規定する消防計画又は同法第十四条の二第一項 に規定する予防規程
三 火薬類取締法 (昭和二十五年法律第百四十九号)第二十八条第一項 に規定する危害予防規程
四 高圧ガス保安法 (昭和二十六年法律第二百四号)第二十六条第一項 に規定する危害予防規程
五 ガス事業法 (昭和二十九年法律第五十一号)第三十条第一項 (同法第三十七条の七第三項 、第三十七条の八及び第三十七条の十において準用する場合を含む。)に規定する保安規程
六 電気事業法 (昭和三十九年法律第百七十号)第四十二条第一項 に規定する保安規程
七 石油パイプライン事業法 (昭和四十七年法律第百五号)第二十七条第一項 に規定する保安規程
八 石油コンビナート等災害防止法第十八条第一項 に規定する防災規程
九 前各号に掲げる計画又は規程に準ずるものとして内閣府令で定めるもの
2 南海トラフ地震防災規程(前項第一号に係るものを除く。以下この項において同じ。)を作成した者は、前条第六項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その南海トラフ地震防災規程の写しを市町村長に送付しなければならない。南海トラフ地震防災規程を変更したときも、同様とする。
(南海トラフ地震防災対策推進協議会)
第九条 関係指定行政機関の長及び関係指定地方行政機関の長、関係地方公共団体の長並びに関係指定公共機関及び関係指定地方公共機関は、共同で、南海トラフ地震が発生した場合における災害応急対策及び当該災害応急対策に係る防災訓練の実施に係る連絡調整その他の南海トラフ地震に係る地震防災対策を相互に連携協力して推進するために必要な協議を行うための協議会(以下この条において単に「協議会」という。)を組織することができる。
2 前項の規定により協議会を組織する関係指定行政機関の長及び関係指定地方行政機関の長、関係地方公共団体の長並びに関係指定公共機関及び関係指定地方公共機関は、必要と認めるときは、協議して、協議会に、南海トラフ地震に係る地震防災対策を実施すると見込まれる者その他の協議会が必要と認める者を加えることができる。
3 第一項の協議を行うための会議(以下この条において単に「会議」という。)は、同項の規定により協議会を組織する関係指定行政機関の長及び関係指定地方行政機関の長、関係地方公共団体の長並びに関係指定公共機関及び関係指定地方公共機関並びに前項の規定により加わった協議会が必要と認める者をもって構成する。
4 協議会は、会議において協議を行うため必要があると認めるときは、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長並びに指定公共機関及び指定地方公共機関その他の関係者に対して、資料の提供、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
5 会議において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
6 協議会の庶務は、内閣府において処理する。
7 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
(南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域の指定等)
第十条 内閣総理大臣は、推進地域のうち、南海トラフ地震に伴い津波が発生した場合に特に著しい津波災害が生ずるおそれがあるため、津波避難対策を特別に強化すべき地域を、南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域(以下「特別強化地域」という。)として指定するものとする。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により特別強化地域を指定するに当たっては、南海トラフ地震として科学的に想定し得る最大規模のものを想定して行うものとする。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による特別強化地域の指定をしようとするときは、あらかじめ中央防災会議に諮問しなければならない。
4 内閣総理大臣は、第一項の規定による特別強化地域の指定をしようとするときは、あらかじめ関係都府県の意見を聴かなければならない。この場合において、関係都府県が意見を述べようとするときは、あらかじめ関係市町村の意見を聴かなければならない。
5 内閣総理大臣は、第一項の規定による特別強化地域の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
6 前三項の規定は、内閣総理大臣が第一項の規定による特別強化地域の指定の解除をする場合に準用する。
(津波からの円滑な避難のための居住者等に対する周知のための措置)
第十一条 前条第一項の規定による特別強化地域の指定があったときは、関係市町村長は、居住者、滞在者その他の者の南海トラフ地震に伴い発生する津波からの円滑な避難に資するよう、内閣府令で定めるところにより、当該津波に関する情報の伝達方法、避難施設その他の避難場所及び避難路その他の避難経路に関する事項その他特別強化地域における円滑な避難を確保する上で必要な事項を居住者、滞在者その他の者に周知させるため、これらの事項を記載した印刷物の配布その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、当該特別強化地域において、津波防災地域づくりに関する法律 (平成二十三年法律第百二十三号)第五十五条 に規定する措置が講じられているときは、この限りでない。
(津波避難対策緊急事業計画)
第十二条 第十条第一項の規定による特別強化地域の指定があったときは、関係市町村長は、当該特別強化地域について、市町村防災会議が定める推進計画に基づき、南海トラフ地震に伴い発生する津波から避難するため必要な緊急に実施すべき次に掲げる事業に関する計画(以下「津波避難対策緊急事業計画」という。)を作成することができる。
一 南海トラフ地震に伴い発生する津波からの避難の用に供する避難施設その他の避難場所の整備に関する事業
二 前号の避難場所までの避難の用に供する避難路その他の避難経路の整備に関する事業
三 集団移転促進事業(防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律 (昭和四十七年法律第百三十二号。以下「集団移転促進法」という。)第二条第二項 に規定する集団移転促進事業をいい、第十六条の規定による特別の措置の適用を受けようとするものを含む。以下同じ。)
四 集団移転促進事業に関連して移転が必要と認められる施設であって、高齢者、障害者、乳幼児、児童、生徒その他の迅速な避難の確保を図るため特に配慮を要する者が利用する施設で政令で定めるものの整備に関する事業
2 前項各号に掲げる事項については、原則として、その具体的な目標及びその達成の期間を定めるものとする。
3 第一項各号に掲げる事項には、関係市町村が実施する事業に係る事項を記載するほか、必要に応じ、関係市町村以外の者が実施する事業に係るものを記載することができる。
4 関係市町村長は、津波避難対策緊急事業計画に関係市町村以外の者が実施する事業に係る事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、その者の同意を得なければならない。
5 関係市町村長は、津波避難対策緊急事業計画を作成しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。
6 関係市町村長は、前項の協議をしようとするときは、あらかじめ、都府県知事の意見を聴き、津波避難対策緊急事業計画にその意見を添えて、内閣総理大臣に提出しなければならない。
7 内閣総理大臣は、第五項の同意をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長と協議しなければならない。
8 第二項から前項までの規定は、津波避難対策緊急事業計画の変更について準用する。ただし、内閣府令で定める軽微な変更については、この限りでない。
9 関係市町村長は、前項ただし書の軽微な変更については、内閣総理大臣に届け出なければならない。
(津波避難対策緊急事業に係る国の負担又は補助の特例等)
第十三条 津波避難対策緊急事業計画に基づいて実施される事業(以下この条において「津波避難対策緊急事業」という。)のうち、別表に掲げるもの(当該津波避難対策緊急事業に関する主務大臣の定める基準に適合するものに限る。第三項において同じ。)に要する経費に対する国の負担又は補助の割合(以下「国の負担割合」という。)は、当該津波避難対策緊急事業に関する法令の規定にかかわらず、同表のとおりとする。
2 津波避難対策緊急事業に係る経費に対する他の法令による国の負担割合が、前項の規定による国の負担割合を超えるときは、当該津波避難対策緊急事業に係る経費に対する国の負担割合については、同項の規定にかかわらず、当該他の法令の定める割合による。
3 国は、津波避難対策緊急事業のうち、別表に掲げるものに要する経費に充てるため政令で定める交付金を交付する場合においては、政令で定めるところにより、当該経費について前二項の規定を適用したとするならば国が負担し、又は補助することとなる割合を参酌して、当該交付金の額を算定するものとする。
(移転が必要と認められる施設の整備に係る財政上の配慮等)
第十四条 国は、第十二条第一項第四号に規定する政令で定める施設の整備に関し、必要な財政上及び金融上の配慮をするものとする。
(集団移転促進事業に係る農地法 の特例)
第十五条 市町村が津波避難対策緊急事業計画に基づき集団移転促進事業を実施するため、農地(耕作の目的に供される土地をいう。以下この条において同じ。)を農地以外のものにし、又は農地若しくは採草放牧地(農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。以下この条において同じ。)を農地若しくは採草放牧地以外のものにするためこれらの土地について所有権若しくは使用及び収益を目的とする権利を取得する場合において、都府県知事(当該市町村が同一の事業の目的に供するため四ヘクタールを超える農地を農地以外のものにし、又は四ヘクタールを超える農地若しくはその農地と併せて採草放牧地について所有権若しくは使用及び収益を目的とする権利を取得する場合には、農林水産大臣)は、当該集団移転促進事業が次に掲げる要件に該当するものであると認めるときは、農地法 (昭和二十七年法律第二百二十九号)第四条第二項 (第一号に係る部分に限る。)又は第五条第二項 (第一号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、同法第四条第一項 又は第五条第一項 の許可をすることができる。
一 関係市町村における南海トラフ地震に係る地震防災対策の円滑かつ迅速な推進のため必要かつ適当であると認められること。
二 関係市町村の農業の健全な発展に支障を及ぼすおそれがないと認められること。
(集団移転促進法 の特例)
第十六条 津波避難対策緊急事業計画に基づく集団移転促進事業を実施する場合における集団移転促進法第三条第二項第三号 及び第七条第一号 の規定の適用については、集団移転促進法第三条第二項第三号 中「住宅団地の」とあるのは「住宅団地(集団移転促進事業に関連して移転が必要と認められる施設であつて、高齢者、障害者、乳幼児、児童、生徒その他の迅速な避難の確保を図るため特に配慮を要する者が利用する施設で政令で定めるものの用に供する土地を含む。第五号並びに第七条第一号及び第三号において同じ。)の」と、集団移転促進法第七条第一号 中「場合を除く」とあるのは「場合であつて、当該譲渡に係る対価の額が当該経費の額以上となる場合を除く」とする。
(集団移転促進事業に係る国土利用計画法 等による協議等についての配慮)
第十七条 国の行政機関の長又は都府県知事は、津波避難対策緊急事業計画に基づく集団移転促進事業の実施のため国土利用計画法 (昭和四十九年法律第九十二号)その他の土地利用に関する法律、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律 (昭和三十年法律第百七十九号)その他の法律の規定による協議その他の行為又は許可その他の処分を求められたときは、当該集団移転促進事業に係る施設の整備が円滑に行われるよう適切な配慮をするものとする。
(地方債の特例)
第十八条 地方公共団体が第十二条第一項第四号に規定する政令で定める施設その他津波避難対策緊急事業計画に基づく集団移転促進事業に関連して移転する公共施設又は公用施設の除却を行うために要する経費(公共的団体又は国若しくは地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものが設置する同号に規定する政令で定める施設その他当該集団移転促進事業に関連して移転する公共施設の除却に係る負担又は助成に要する経費を含む。)については、地方財政法 (昭和二十三年法律第百九号)第五条 の規定にかかわらず、地方債をもってその財源とすることができる。
(地震観測施設等の整備)
第十九条 国は、南海トラフ地震に関する観測及び測量のための施設等の整備に努めなければならない。
(地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備等)
第二十条 国及び地方公共団体は、推進地域において、避難施設その他の避難場所、避難路その他の避難経路、避難誘導及び救助活動のための拠点施設その他の消防用施設その他南海トラフ地震に関し地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備等に努めなければならない。
(財政上の配慮等)
第二十一条 国は、この法律に特別の定めのあるもののほか、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進のため必要な財政上及び金融上の配慮をするものとする。
(政令への委任)
第二十二条 この法律に特別の定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十七年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
三 第二条の規定並びに附則第七条、第八条、第九条第五項、第十二条から第十四条まで、第四十四条、第四十七条、第四十九条、第五十条(「第二条第十二項」を「第二条第十三項」に改める部分に限る。)、第五十二条及び第五十三条の規定 平成十六年四月一日
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第八十一条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第八十二条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行前にこの法律による改正前の東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(以下この条において「旧法」という。)第六条第一項又は第二項の規定により定められた推進計画及び旧法第七条第一項又は第二項の規定により作成された対策計画(旧法第八条第一項の規定により対策計画とみなされるものを含む。)は、この法律による改正後の南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(以下この条において「新法」という。)第五条第一項各号に掲げる事項及び新法第七条第四項に規定する事項について定めた部分については、新法第五条第一項又は第二項の規定により定められた推進計画及び新法第七条第一項又は第二項の規定により作成された対策計画(新法第八条第一項の規定により対策計画とみなされるものを含む。)とみなす。
(調整規定)
第四条 この法律の施行の日が平成二十六年四月一日前となる場合における地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則第十五条第六項の規定の適用については、同項中「東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」とあるのは、「東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(平成二十五年法律第八十七号)による改正前の東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」とする。
事業の区分
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国の負担割合
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南海トラフ地震に伴い発生する津波からの避難の用に供する避難施設その他の避難場所の整備で地方公共団体その他の政令で定める者が実施するもの
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三分の二
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南海トラフ地震に伴い発生する津波からの避難場所までの避難の用に供する避難路その他の避難経路の整備で地方公共団体その他の政令で定める者が実施するもの
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三分の二
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